マジェスティS aRacer RC Mini5 vs RC Super2
aRacerを購入する際にまず迷うところとしては、安価なRC Mini5にするか高価なRC Super2にするかだと思います。RC Super2は毎年限定セットを出しているので、在庫が入手可能であればむしろRC Super2の方が安いのでこちら一択なのですが、RC Mini5とRC Super2の違いをまとめてみました。
比較表
こちらはaRacer SpeedTekのホームページ上にある比較表を日本語訳したものです。
RC Mini5 | RC Super2 | |
用途 | スポーツ | レーシング |
ECUタイプ | スタンドアロン ミドルレベル プラグ&プレイ | スタンドアロン ハイレベル プラグ&プレイ |
変更の範囲 | 中 (純正、エキゾーストパイプ、エアフィルター、25%のボアアップ、ハイカム) | 高い解像度 (純正、制限の無いNA、NOS、ターボ、デュアルインジェクション、2 & 4シリンダー) |
チューニング詳細 | 中 (MINITuneによる内部の基本マップ、10以上のエンジンパラメータの調整) | 高 (PC、Powerful for racingによる内部の基本マップ、80以上のパラメータの調整が可能) |
必要とされるチューニングスキル | 中 | 高 |
ログエンジンデータ | 有り(スマートアプリの併用で) | 有り(サイクルによる50分のデータ記録) |
レースファンクションモジュール | 有り | 有り、GPS、6Gyro、トラクションコントロール、ピット制限コントロール |
マップスイッチ | 無し | 有り(3マップ) |
bLinkモジュールサポート | 有り | 有り |
メモリモジュールサポート | 有り | 有り |
オートチューン(AF1の併用で) | 有り | 有り |
燃料補正(AF1の併用で) | 有り | 有り |
エンジン回転数制限調整 | 有り | 有り |
レーシングレベル | ワンメイクレース、中度の変更 | インターナショナルモト、2、3、ARRC、ワンメイクレース |
ECU価格 | 中 | 高 |
比較表以外の違いについて
一見するとレースに出場するとか、ハードなチューニングを行わなければRC Super2は必要無いように見えてしまいます。しかし、私は以下の観点からRC Mini5ではなくRC Super2を選択すべきと考えます。
・パソコンにインストールして使うソフトウェアのSpeed Tuning Super 2が利用できません。RC Mini5はスマートフォンアプリのaRacerSmartを使用します。
・アプリを使ってパラメータのセッティングを行いますが十数種類しか変更できません。基本的に見ておいた方が良いと思われる項目が十数種類の中に含まれていません。RC Super2は80種類以上のパラメータの可視化と変更が可能です。
・マップの中身(具体的な数値)が見えません。ECUにインストールしたマップの中身が見えないので、客観的に正しいのか判断がつきません。具体的な例で書くと、オートチューンでセッティングをすると”D3Cyl1_VM”というマップが書き換わっていきます。デフォルトのマップと比べ、どの箇所(エンジン回転数×吸気量)が書き換わったのかわかりません。Speed Tuning Super 2でマップを開けばどの箇所が変更されたのか一目瞭然です。また、車両の仕様変更をした際に作業前後のマップを比較することで体感ではなく、数値的に改善しているのか否かを判断することができます。
・aRacerSmartはターゲット空燃比については絶対値(具体的な数値)で入力が可能です。しかし、手動調整する場合のガソリン増量や点火時期(角度)は相対的値(何%増やす/減らす)での変更になってしまいます。マップを後から見直したり比較するうえでも理解しやすい絶対値で調整したいです。Speed Tuning Super 2は絶対値/相対値どちらでも調整が可能です。
・過去の走行ログを元に燃調を行うセミオートチューン(SAT)に対応していません。
・他の車種のベースマップが見れません。最初に基本となるベースマップをリストから選んでECUに書き込みますが、自分の車両の仕様に合ったベースマップが無い場合があります。マジェスティS(aRacer上ではSMAX)は不人気なのか、シグナスXやNMAXに比べて極端にベースマップが少ないです。このようなケースの場合、他の車種のベースマップが非常に参考になります。例えば、マジェスティSで一般的なボアアップを行った場合はピストン径は63mmになりますが、NMAXやシグナスXには63mmのベースマップがあるので、他車種のマップをSpeedTuning Super 2で読み込み確認することで、ベースマップ作りの参考にすることができます。燃料の調整はオートチューンである程度何とかなってしまいますが、特に圧縮比が上がるボアアップは他車の点火時期(角度)マップが非常に参考になります。
・車種によってRC Mini5の方がベースマップの数が少ないです。上記表にも記載されているとおり、ボアアップ用に用意されているマップが純正排気量+25%アップ程度までしかありません。
・ログ記録をマニュアルで開始/終了の操作を行う必要があります。Speed Tuning Super2を使うとマニュアル記録だけでなく、Cycle(自動ログ保存)で最大50分間保存可能です。
・aRacer iMode GEN3に対応していません。