Express5800(鼻毛鯖)ESXi 5.0 U1 PowerAct Pro UPS と連携
先日 Express5800/S70(鼻毛鯖)用に導入したUPS オムロンBY50Sですが、シャットダウン管理ソフトのPowerAct ProがESXiにも対応しているので(ただしメーカーアナウンスは4.1まで)設定してみることにしました。結果的にESXi 5.0 Update 1でも利用可能でした。
PoweAct Proにはマスターエージェントとスレーブエージェントという役割があります。UPSの状態監視を行うのがマスターエージェントです。UPSに何らかの障害が発生した場合、マスターエージェントがスレーブエージェントに対してシャットダウンの命令を出します。この時マスターエージェントも自分自身に対してシャットダウン処理を行います。今回はマスターエージェントとしてWindows 7を使用しました。ESXiはスレーブエージェントとして動作させます。Linux用のスレーブエージェントもありますが、SSHを使用したスクリプトも利用できるので今回はエージェントレスとしました。また、管理はマスターエージェントにインストールしたWebサーバ機能で行います。
停電等でUPSに電源が供給されなくなった場合の処理の流れです。最終的にUPS自身もシャットダウンを行います。再度通電が開始されるとUPSが起動し、Express5800自身にも電源が供給され自動起動させるように設定します。
以下、PowerAct Proの設定手順を記載します。
1.UPSの背面ポートとExpress5800の任意のUSBポートを付属のUSBケーブルで接続します。
2.仮想マシン上のマスターエージェントにUSBを認識させる為、vSphere ClientでESXiにアクセスしUSBパススルーの設定を行います。Windows 7 Enterpriseの仮想マシンを右クリック → 設定の編集 → ハードウェア → 追加をクリックします。
3.USBコントローラを選択 → 次へをクリックします。USBデバイスを使うには先にUSBコントローラを使用可能にする必要があります。
4.EHCI+UHCIを選択 → 次へをクリックします。
5.選択されている項目を確認してOKをクリックします。
6.OSをクリックしてUSBコントローラの追加を終了します。
7.USBコントローラが追加されました。次はUSBデバイスを追加します。次へをクリック。
8.USBデバイスを選択 → 次へをクリックします。
9.Omron BY50Sが認識できているので選択 → 次へをクリックします。
10.選択されている項目を確認して終了をクリックします。
11.仮想マシンのWindows 7上でコントロールパネルの「デバイスとプリンター」を選択すると認識できているBY50Sが確認できます。
12.オムロンのダウンロードサイトからPowerAct Pro 4.5(マスターエージェント)をダウンロードします。付属のCD-ROMには4.5が含まれていましたが、最新版を確認する意味でWebからダウンロードしています。また、ダウンロードするには認証が必要です。CD-ROMをドライブに挿入してボリュームラベルを入力する必要があります。
13.PowerAct Proが動作するマスターエージェントに対してブラウザベースで管理を行う為、IISかApacheどちらかのWebサーバを使用します。今回はWindows 7にデフォルトで入っているIISを使用することにしました。コントロールパネル → プログラムと機能 → Windows の機能の有効化または無効化をクリックしてIISの設定を行います。
14.インターネットインフォメーションサービス以下を下記のように修正しました。最後にOKをクリックしてIISの設定は完了です。
15.次はPowerAct Proをインストールします。仮想マシン上でファイル内のsetup.exeをダブルクリックして実行します。
16.標準インストール(ネットワーク機能あり)を選択 → 次へをクリックします。
17.インストール先のフォルダを指定です。次へをクリックします。
18.プログラムフォルダの指定です。次へをクリックします。
19.IISサーバを使用するを選択 → 次へをクリックします。
20.選択したインストール内容を確認して次へをクリックします。
21.ここから初期セットアップが開始されます。管理アクセスにSSLを使用するかどうかの設定。今回は「いいえ」を選択して進めます。
22.通信ポートの設定。BY50SとPCが接続されるポートです。Webアクセスする際のTCP/IPのポート番号ではありません。自動を選択 → OKをクリックします。
23.事前のUSBパススルーの設定がうまくできていればここで認識できるはずです。BY50Sが認識できていることを確認 → OKをクリックします。
24.バッテリーの使用期間を管理する為の設定です。前回使用していたBX50Fが7年経っても現役で使えているので、とりあえず設置から5年後を交換予定日としました。
25.使用開始日を確認 → OKをクリックします。
26.シャットダウンパラメータの設定です。「待機時間」はUPSに対する給電がストップした後、この時間を待ってシャットダウン処理を開始します。この時間内に復電すればシャットダウンは開始されません。数分の停電でシャットダウンされても困るので、先日のワットチェッカーでの計測結果から600秒(10分)としました。「シャットダウンに必要な時間」は自分自身がシャットダウンに要する時間です。60秒で設定しました。「入力電源異常時のバックアップ時間」はUPSのバッテリー限界までバックアップしたいので0秒としています。「UPS起動/再起動」と「通信設定」のタブはデフォルト設定のままです。また、これらの箇所はインストール後でも設定変更可能です。最後にOKをクリックします。
27.PowerAct Proに管理アクセスする際のパスワードを設定します。ユーザ名は「Admin」になります。
28.完了をクリックしてPowerActPro(マスターエージェント)のインストールは終了です。
29.PowerAct Proのアイコンを常時表示させます。画面右下の▲をクリック → カスタマイズ → 「アイコンと通知を表示」を選択します。
30.アイコンがグリーンであればUPSとの接続に問題がなく正常に稼働しています。
31.必要に応じてファイアウォールの設定を行います。私はファイアウォールを無効にしているので特に設定しませんでしたが、絞っている方はTCP80番、TCP4112番、UDP4114番、UDP4117番を開けてください。
32.常時稼動させるため、スリープの設定を解除します。コントロールパネル → 電源オプションをクリックします。
33.プラン設定の変更をクリックします。
34.「コンピューターをスリープ状態にする」の項目を「なし」に変更 → OKをクリックします。
35.Windowsが勝手に再起動しないようにWindows Updateの設定を変更します。コントロールパネル → Windows Updateをクリックします。
36.設定の変更をクリックします。
37.「更新プログラムを確認するが、ダウンロードとインストールを行うかどうかは選択する」を選びOKをクリックします。これでマスターエージェントの設定は完了です。
38.次はスレーブエージェントとなるESXi側の設定です。ESXiバージョン5.0からはファイアウォールが動作していますので、PowerAct Proが使用するポートを開ける必要があります。PowerAct Pro用の設定ファイル(xmlファイル)を作りましたので、ローカルPCにダウンロードして下さい。
『PowerAct Pro ESXi用ファイアウォール設定ファイル』
内容としては下記ポートを開けています。
■Outbound
・TCP 4112
・UDP 4114
・UDP 4117
■Inbound
・UDP 69
・UDP 200
・UDP 4114
・UDP 4117
・TCP 4112
・TCP 4626
39..ダウンロードしたファイルを解凍し「poweractpro.xml」をESXi上の/etc/vmware/firewall/ディレクトリにWinSCP等のSCPクライアントを使ってアップロードします。※事前にSSHアクセスを有効にしておく必要があります。SSHはvSphere Cleint → 構成 → セキュリティプロファイル → サービス → プロパティ → SSH → オプション → 起動で有効にできます。
37.Tera Termを使ってESXiにSSHでログインします。パスフレーズは「チャレンジレスポンス認証を使う」を選択します。
38./etc/vmware/firewall/ディレクトリに移動して権限をservice.xmlと合わせます。service.xmlがデフォルトのファイアウォール設定ファイルです。
# cd /etc/vmware/firewall/ /etc/vmware/firewall # chmod 444 poweractpro.xml
39.ファイアウォールのプロセスを再起動して設定ファイルを読み込ませます。
/etc/vmware/firewall # esxcli network firewall refresh
40.このディレクトリに置いたファイルはESXiが再起動した際に消えてしまうので、再起動後も有効にする為の設定を行います。まずはpoweractpro.xmlを/store/ディレクトリにコピーします。
/etc/vmware/firewall # cp poweractpro.xml /store/
41.# /etc/rc.localをviコマンド等で編集し、起動後にfirewallディレクトリにコピーして再読み込みさせるよう最終行に追記します。
# vi /etc/rc.local #PowerAct Pro Firewall Rule Reload cp /store/poweractpro.xml /etc/vmware/firewall chmod 444 /etc/vmware/firewall/poweractpro.xml esxcli network firewall refresh
42.vSphere ClientでESXiにアクセスし、インベントリ → 構成 → セキュリティプロファイル → ファイアウォール → プロパティをクリックします。ラベル「PowerActPro」が追加されていること確認し、チェックボックスを有効(ルールを有効)にしてOKをクリックします。以上でファイアウォールの設定は完了です。
43.ここからはESXiにスレーブエージェントをインストールしていきます。オムロンのダウンロードサイトからPowerAct Pro 4.2(Slave Agent)をダウンロードします。認証は必要ありませんでした。
44.ダウンロードしたファイルを解凍し、中身の「PAP_Slave_V42_ESXi40_20100419」フォルダをESXi上にWinSCP等を使ってアップロードします。tmpディレクトリにアップロードしました。
45.Tera Termを使ってESXiにSSHでログインします。アップロードしたディレクトリに移動し、chomodコマンドでインストールシェルスクリプトを実行できるように権限を変更します。
# cd /tmp/PAP_Slave_V42_ESXi40_20100419/ /tmp/PAP_Slave_V42_ESXi40_20100419 # chmod 744 install.sh
46.install.shを実行します。
# ./install.sh
47.ライセンス内容が表示されるので同意します。下記メッセージが出ればインストール成功です。
# Do you agree this license? [ y/n ] y PowerAct Pro Slave Agent program has been installed completely. Please run below command and setup the shutdown parameters of slave agent to meet your system. Command: /bootbank/PowerActPro/SlaveAgent/slaveconfig.sh
48.インストール先のディレクトリに移動してslaveconfig.shを実行します。
# cd /bootbank/PowerActPro/SlaveAgent/ vmfs/volumes/7c091ce4-15af1663-4d84-73d381ad8418/PowerActPro/SlaveAgent # ./slaveconfig.sh
49.各項目を設定していきます。
******************************************************************************* Master Agent # マスターエージェントの指定 ******************************************************************************** 1. PA Pro 2. SC20 3. SC20G Select Number -> 1
******************************************************************************** Redundant Power Supply Setting # 冗長電源構成の有/無 ******************************************************************************** 1. Enable 2. Disable Select Number -> 2
******************************************************************************** IP Address of Master Agent # マスターエージェントのIPアドレスを入力 ******************************************************************************** 1. End 2. Add a New IP Manually 3. Add a New IP Manually From Net Search Select Number -> 2 Please Input the IP: XXX.XXX.XXX.XXX Detect the IP, Please Wait ...
******************************************************************************** Popup Message # ポップメッセージの表示 有/無 ******************************************************************************** 1. Enable 2. Disable Select Number -> 1
******************************************************************************** Shutdown Start Delay Tiem(Sec.) # マスターエージェントからシャットダウン命令を受けてからシャットダウンを開始するまでの遅延時間(秒) ******************************************************************************** * The range of Shutdown start delay time is from 0 Sec to 600 Sec * The step between "0 Sec to 600 Sec" is "60 Sec". Input Value: 120
******************************************************************************** Shutdown Need Time(Sec.) # ESXiがシャットダウンに必要な時間(秒) ******************************************************************************** * The range of Shutdown need time is from 0 Sec to 600 Sec. * The step between "0 Sec to 600 Sec" is "60 Sec". Input Value: 60
******************************************************************************** Run External Command Time(Sec.) # 外部コマンドの実行時間 ******************************************************************************** * The range of Ext cmd run time is from 0 Sec to 600 Sec. * The step between "0 Sec to 600 Sec" is "60 Sec". Input Value: 0
******************************************************************************** Run External Command # 外部コマンドファイルの指定 ******************************************************************************** Input a executable file:
******************************************************************************** Select Shutdown Mode # シャットダウンモードの選択 ******************************************************************************** 1. Shutdown Select Number -> 1 /vmfs/volumes/7c091ce4-15af1663-4d84-73d381ad8418/PowerActPro/SlaveAgent # Broadcast message from root (Sun Jun 24 16:35:13 2012): Slave Start
「Shutdown Start Delay Tiem(Sec.)」は全ての仮想マシンがシャットダウン終了する時間を考慮して設定して下さい。設定が終了するとスレーブエージェントが起動します。以上でESXi(スレーブエージェント)の設定は完了です。上記設定はマスターエージェントの管理画面からでも可能です。また、ESXi上で設定変更を行いたい場合は/bootbank/PowerActPro/SlaveAgent/AgentManager/AgentManagerのシェルを実行します。
50.マスターエージェントの管理画面にアクセスする前に、管理端末のブラウザ設定でポップアップブロック除外設定を行います。ここではGoogle Chromeでの設定方法です。設定 → 詳細設定を表示 → コンテンツの設定 → ポップアップ → マスターエージェントのIPアドレスを追加 → OKをクリックします。
51.ブラウザのアドレスバーに「http://XXX.XXX.XXX.XXX/PowerAct_Pro/index.html」と入力してマスターエージェントにアクセスします。(XXXにはマスターエージェントのIPアドレスを入れて下さい)アクセスするとマスターエージェントにぶら下がる形でスレーブエージェントが表示されます。スレーブエージェントが表示されない場合はお互いが認識できていないので、ファイアウォール設定を見なおしてみて下さい。マスターエージェントをクリックしてログインします。
52.マスターエージェントの設定項目で設定したパスワードを入力して下さい。
53.ログインすると詳細な情報が表示され、左メニューの操作が可能になります。メニューの環境設定をクリックしてLinux2台のスクリプトシャットダウンの設定をしていきます。
54.スクリプトシャットダウンをクリック → 追加をクリックします。
55.スクリプトシャットダウンの詳細を設定します。SSHで接続してshutdownコマンドを入力するスクリプトです。rootユーザでログインしてシャットダウンする場合でも記述する項目は「一般ユーザID」と「一般ユーザパスワード」の箇所になります。「管理者ユーザID」と「管理者ユーザパスワード」は空欄のままです。テストをクリックすると実際にスクリプトを発行して確認することができます。
56.スクリプトシミュレーションに成功すれば下記画面が表示されます。
57.先ほどの画面に戻ってOKをクリックします。
58.Linux2台分のスクリプトを設定しました。設定をクリックしてスクリプトシャットダウンの設定を完了します。
59.復電時にESXiが自動的に起動するようにExpress5800のBIOS設定を変更します。System Hardware → AC-LINK → Power Onを選択します。仮想マシンも自動起動させたいのですが、5.0 Update 1にはバグがあり設定しても動作しませんでした。スクリプトで対応することも可能だそうですが素直にパッチを待つことにします。
~参考資料~
PowerAct Pro Ver.4(Master Agent)
– PowerAct Pro クイックインストールガイド
– PowerAct Pro インストールガイド(初心者向け/Windows版)
PowerAct Pro Ver.4(Slave Agent)
– PowerAct Pro インストールガイド(初心者向け/VMware版)