マジェスティS Gstone GNタイプ 軽量プライマリギア & GEタイプ 軽量リアアクスルシャフト取り付け

2022年12月16日

現在使用しているGstoneのハイギアは、ハイレシオ化による最高速の向上だけでなく、純正ギアよりも軽量化されておりレスポンスアップ効果が期待できます。ギアボックスのプライマリギアとアクスルシャフトについてもGstoneから軽量なものが販売されているので、こちらも導入してみることにしました。

GNタイプ 軽量プライマリギアのパッケージ。

国内代理店アトラスの品番は「TA-GST-MT128」です。

同梱物。

ギアの歯数は13×45で純正と同じです。ギア比は変わらないので軽量化がメリットになります。

シャフトは内部が部分的に空洞になっており軽量化されています。

一次側のギアも付属しますが、すでにGStone GTタイプのハイギアを導入済みなのでこちらは使用しません。一次側の純正ギアと組み合わせての使用を想定している部品です。

純正のプライマリギアシャフトは520g。

Gstoneのプライマリギアシャフトは400g。純正よりも約23%軽量。

GEタイプ 軽量リアアクスルシャフトのパッケージ。

国内代理店アトラスの品番は「TA-GST-MT152」です。

同梱物はシャフトのみ。

仕上がりは綺麗です。

こちらも部分的に中空構造になっています。

純正リアアクスルシャフトは660g(スナップリング込み)。

Gstoneのリアアクスルシャフトは581g(スナップリング込み)。純正よりも約12%軽量。

その他使用した純正部品①、ミッションケースカバーのオイルシール。品番は「93102-22820」です。

その他使用した純正部品②、ミッションケースカバーのベアリング(プライマリギアシャフト部)。品番は「93306-272X6」です。ベアリングをシャフトから抜く際はアウターレースに力をかけることになるため、ベアリングに負荷がかかるので交換としました。

その他使用した純正部品③、リアアクスルシャフトのスナップリング。品番は「99009-25400」です。個人的な感覚では再利用できそうですが、一応サービスマニュアルでは新品交換部品に指定されている箇所です。その他、画像はありませんがミッションオイル220ccが必要です。前回と同様にヤマハ純正を使用しています。

プライマリギアシャフトは油圧プレスを使って抜きました。クラッチ側から圧をかけるとまずはベアリングとシャフトがくっついた状態で抜けます。次に、ベアリングを保持してクラッチ側から圧をかけてベアリングとシャフトを分離させます。ベアリングとシャフトはある程度強い力で圧入されています。

ミッションケースカバーへの取り付けについて、まずは外した古いベアリングを治具として使用し、ベアリングをケースに圧入します。次にベアリングにシャフトを通すのですが、ベアリングをヒートガンで約100℃まで熱し、冷凍庫で冷やした状態のシャフトを手で一気に挿入しました。この方法で全く力を必要とせずに奥まで通すことが可能です。もしこの方法がNGだった場合に備え、ベアリングに負荷をかけないようインナーレースを保持して油圧プレスで圧入させる治具(パイプ)も用意していたのですが、使わないで済みました。

最後にオイルシールをシャフトの上から通し、指で少しづつ押して挿入しますが、もしミッションケースカバーを熱している場合は必ず常温に冷めるまで待ちます。オイルシールはツライチより1mm位奥に挿入されるのが正しい位置なのですが、強く押しすぎると止まらずに奥に押し込まれてしまうので力加減に注意が必要です。

ベアリング等の金属部品をヒートガンで熱する場合に温度を確認する方法について、測定時間はかかってしまうのですが、タニタのスティック温度計「TT-583」を使用しています。先端2cmが感温部となっており、-50℃~240℃まで測定できます。精度は0-100℃までなら+-1℃以内、それ以外は+-2℃以内です。測定が楽なガンタイプの赤外線放射温度計も所有しているのですが、鉄や鉄鋼の放射率を設定しても実温度とかなり誤差があり、使用するにしても実際の温度との誤差を把握しておかないとリスクがあると思います。

アクスルシャフト交換はリアホイールまで外す必要がありますが、パーツ自体の取付は簡単です。圧入はされていないので、二次側のギアを外した後にシャフトを手前に引き抜き、新しいシャフトにスナップリングを取り付けて入れ直すだけです。ホイール側に使用されているシャフト用のオイルシールも別途用意していたのですが、走行距離が短いのと、シャフトを回転させた際の動きに問題無さそうでしたので無交換としました。

スナップリング交換に使用したクニペックスの精密スナップリングプライヤー。以前はアストロの安いコンパクトなタイプを使用していたのですが、錆で固着したスナップリングで負荷をかけたら先端が曲がってしまったので新調しました。サイズも大きいので当たり前ですが剛性感がありしっかり食いつきます。軸用が「4911A2」、穴用が「4811J2」です。どちらも対応サイズが19~60mmで、シャフトのスナップリングは内径が約23mmなので適合します。

交換したリアアクスルシャフトのホイール側。国内代理店の商品紹介ベージにはタンデム走行(二人乗り)しないようにと注意書きがありました。記載されているということは実際に折れたり曲がったりしたことがあるのでしょう。中空シャフトなので純正より強度は下がるリスクは認識しておく必要がありますね。

ギア全体でどれだけ軽量化できたかですが、純正より約469g軽く、約19%減という結果となりました。
純正合計:約2,479g
Gstone合計:約2,010g

大きく性能向上が見込めるようなパーツでは無いと思いますが、体感的には走行中のスロットルオフからスロットル急開時にレスポンスが向上しているように感じられます。発進時も効果は出ているはずなのですが、熱ダレの影響が大きくて体感はできていません。参考までに台湾のMotoBuyにシグナスXで性能検証した結果がグラフを使って掲載されています。こちらもハイギア化して約19%の軽量化となっているようです。