マジェスティS FLH-533フォグライト ボルト緩み対策 ノルトロックワッシャー

2023年5月25日

先日取り付けたFLH-533はFLT-322に比べ重量バランスが悪く、ボルト位置に対し前側が重くなります。また、フロントフェンダー左側に取り付けてカットラインを純正ヘッドライト付近に合わせると前が下向きになり、走行風が下側に押し付けることでボルトが緩みやすくなります。対策としてノルトロックワッシャーとフランジナット(S付き)を使用して対策しました。

ノルトロックワッシャーとは?

ノルトロックワッシャーはスウェーデンが発祥のノルトロック社が開発した画期的な緩み止めワッシャーです。二枚重ねのワッシャーが外側のリブ(締める方向はスムーズ、緩める方向は引っかかるギザギザ)と内側のカムで構成されています。ボルトが緩もうとする際、ボルトのネジ山の角度よりもカムの角度が大きいため、カム山を乗り越えることができない構造です。ボルトの回転緩みと非回転緩みという両方の緩みに対策する特許技術が使われています。国内事例ではN700系の新幹線にも使われており、信頼性の高い製品です。

出典:株式会社ノルトロックジャパン ノルトロック製品総合カタログ

https://www.nord-lock.com/globalassets/mediavalet/web-assets/downloads/brochure/nord-lock_brochure_jp.pdf

ノルトロックワッシャーには素材別に5種類存在します。スチール、ステンレス、254SMO(高耐蝕ステン)、ハステロイ C-276、インコネル 718です。入手が容易でコンシューマ向けに出回っているのはスチールとステンレスだと思います。本来、使用するボルトやナット、締め付ける対象の素材で使い分けする必要があるのですが、今回は最も一般的で価格の安いスチールを使用しました。スチールといっても、亜鉛フレークコーティングを施すことで、塩水噴霧試験で1,000時間以上の耐腐食性を備えています。

また、緩み止めに使われるセルフロックナット等は再使用不可ですが、ノルトロックワッシャーはカム面の摩耗が大きくなければ再利用が可能なところも良いポイントです。

ユンカー振動試験結果

ノルトロック社が出している総合カタログにユンカー振動試験という、ボルト締結の耐振動性を検証する結果が載っていました。非常に興味深い内容で、スプリングワッシャーは意味が無いと良く世間で言われていますが、それがよくわかります。

出典:株式会社ノルトロックジャパン ノルトロック製品総合カタログ

https://www.nord-lock.com/globalassets/mediavalet/web-assets/downloads/brochure/nord-lock_brochure_jp.pdf

上記グラフの比較以外にも、ダブルナットとの比較、ネジロック剤との比較など面白い内容がノルトロック社のYoutubeで見れますので、興味のある方は視聴してみると良いと思います。

まとめ:ユンカー振動試験による緩み止め製品比較検証

今回使用した組み合わせ

M6のフランジナットとノルトロックワッシャーM8(NL8)。ボルトはM6ですが、段付きワッシャーとして使用しているM10→M8変換カラーがM8なのでM8のワッシャーを使用しています。M6の幅広タイプ(NL6sp)もラインナップとして存在し、そちらはM8の標準と外径が同じ13.5mmなのでそちらを使っても良かったかなと思いますが、セレート(ギザギザ)の位置とノルトロックワッシャーの位置がほぼ同じ位置で重なるので標準外径のものでも問題無い判断できます。

本来であれば段付きワッシャーの裏側にもノルトロックワッシャーが必要になるのですが、段付きワッシャーの効果が無くなってしまうのと、フォグが緩む時はナット側が動くのを確認していたので使用していません。

取り付けには薄型スパナを使用

フォグライト本体とナット間の隙間が小さいため、TONEの薄型スパナを使用しました。

他に所有しているスパナとの比較、左からTONEの薄型スパナ、KTCの一般的なスパナ(最近のもの)、KTCの一般的なスパナ(昔のもの)。KTCのスパナは比べると昔よりも少し長くなっていました。

肝心の厚み。先程と同じ順番です。KTCは昔のモデルと比べると少しだけ薄くなっていました。TONEは圧倒的な薄さです。

実際の効果

ノルトロックワッシャーの効果ですが、装着後は走行時にフォグライトが緩まなくなりました。締め付ける時のトルク感は普通のワッシャーと変わらないのですが、緩める時は上記、ユンカー振動試験のグラフと同じく、大きな力を掛けた後にカム山を乗り越えバキッと一気に緩む感じになります。装着前と比べ大きな力が必要になっており効果を体感できました。ノルトロックワッシャーは安価で入手しやすく、サイズのラインナップも豊富なので、今後緩み止め対策が必要な場所には積極的に使っていこうと思います。